スプラッシュ完登

<ゆ> 2月24日(日)シーサイド天気予報は大幅に外れ、当初雨予報の土曜日は天気が良く、晴予報の日曜日は予想外に雨がぱらついたが、ほとんどのシーサイドクライマーは土曜日お休み、日曜日出勤。そんな日曜日、お昼は暑すぎるくらいの好天だったが、昼下がり以降雲が出て、突然不思議なくらい絶好のコンディションになりました。
その一瞬のチャンスに、この2か月間のクライミング全てを投入してきたスプラッシュが完登できました。完登トライはその日の3便目で疲れ果てていたのに、不思議と一つ一つのムーブが確実にこなせて、サーカスライトの合流点にたどり着いたときには疲労を感じませんでした。そこからは、脳内から雑念が完全に消えて、岩に触れている手や足先の感覚、筋肉の感覚、視覚がやたら鮮明になり、体は何の迷いもなく動いて、気づいたら終了点にクリップできていました。
クライミングって本当に稀―――――にだけど、今の瞬間だけに集中した意識の世界に行けることがあって、瞑想とかで辿り着ける特別な時間を感じてるんだろうな、と思う。そんな最高のクライミングでした。幸せです。

(登り終えて下を見たら、皆がおめでとうを言ってくれてグっときました(Photo By そーちょー))

で、クライミング自体に満足しすぎると何も書くことがなくなってしまうので、「今週は何を書こうかなー」となったけど、スプラッシュとの思い出について書いておこうと思います。(書いてみたらスーパー長文になったので、適当に読み飛ばしてください)
【スプラッシュ 5.13C】
強すぎる杉野保さんが、1998年に初登。初登時は一つ目の核心である「リップ取り」に出る前のホールドにチョックストーンがあり、核心前のガバレストはできず、2本指のクロスムーブだったらしい。なのに当初のグレードは5.13B。チョックストーンがなくなってガバが出現してから、5.13Cにグレードが変わったとか。 第2登のシノさんは、出だしはサーカス側を一切使わないで傾斜壁の中のごみホールドで登ったらしく、さらに2本指クロスムーブでリップを取りに行っているなら5.14あったのでは・・・と思われる。そんな逸話がたくさんある歴史的なルートは、波打ち際にあって迫力満点な上に、ムーブもカッコよく、シーサイドの大ボスルートとして今も憧れているクライマーは多いと思う。
スプラッシュは大きく分けて3つの核心がある。核心①は、ルーフから垂壁面への抜け口で、見えない垂壁に向かってダイナミックな一手をだすパート。オリジナルムーブはリーチがないと不可能だが、リップの奥の垂壁面ではなくリップ自体についているカチを握りしめ、ヒールフックで垂壁にあがるムーブを誰かが見つけ出し、ちびっ子でも登れるルートになった。

(大きい人と小さい人のスプラッシュ 核心①)
(大きい人と小さい人のスプラッシュ 核心②ここは足が長いとすごく辛い)

核心③は、サーカスライト5.12Dの核心で、最初は「このホールド持てるの?」と感じるようなホールドを、ヒールフックとか体のポジションで殺すコツ系で、コツが掴めるとできる。だがパンプしていると厳しいので、最終的には持久力をつけて下部の核心での疲労を残さないのが核心になってくると思われる。

(おKちゃんが完登トライを全コマ撮ってくれてた!最後の核心)

さらにこのルートの魅力をあげているのが、杉野さんの絶妙なボルトの打ち方だ。特に垂壁面は、核心ムーブを全部こなしてからでないと、クリップすることができないようになっているため、一連のムーブがつながないと核心最後が触れないようになっていて、「上はどうなってるんだろう?」と恋焦がれる気持ちが高まるように作られている絶品ルートなのだ。

【自分の記録】1月12日(土)、13日(日)スプラッシュはは3・4年前にトライしていたが、核心①の遠いオリジナルムーブができずに諦めていた。2年前はアメリカにいて、昨年は眩暈で絶不調。今年はクライミングの調子もいいので、本腰を入れてやろうか迷っていたところ、S太郎さんが「リップのカチを取りに行くムーブがあるよ」と教えてくれたので、ダメ元でホールドをさぐってみると、突然できしまったところが、核心②の最初の遠いホールドを取るムーブができない。これまた困っていると帰宅後にTポンが、「K西くんが違うムーブでやってたような」とビデオを見せてくれ、「これならできるかも」と思い、翌週が待ちきれない思いでイメトレした。
1月20日(日)イメトレ通りK西くんのムーブを試すと、バッチリサイズがフィットして、すぐに解決した。自力でムーブを考える力が弱すぎて凹むが、本当に限界なルートは自分の脳だけでは対処できず、周りの人からもらえる情報は本当に助かる。この日はカンテを取るところまでたどり着いた。しかし、どうしてもサーカスライトの合流点にマッチできない。
カンテマッチの方法を平日のボルダージムで色々試してみる。その結果、足ホールドを変えて、下半身分離を意識すればできるはず、と思えたので、次の週末が待ちきれなくなった。
1月27日(日)ジムで作ったムーブをさっそく試す。イメージはバッチリ正しく、サーカスライトの合流ムーブができて、ついに全ムーブが解決した。
2月2日(土)ワンムーブずつ、どこも大変でつながる気もしなかったが、何とか2テンになった。
2月10日(日)、11日(月)久しぶりの2連荘。初日は2本登っただけでヨレヨレ。こんなに消耗するルートを登れる日が来るの?って思う。ところが二日目は疲れているのに、何故かワンテンになった。俄然登れる気になる。

2月16日(土)一便目に核心②のカンテが取れたが、足を間違えてフォール。「次に登れるかも?」と思うと脳が空回りし始めたのか、突然核心①のヒールフックができなくなるスランプに陥り、解決しないまま1日が終了。

(おKちゃんが撮ってくれた写真を見て、ヒールのかけ方じゃなくて右腕の引き付けが効いているのがわかった、スランプでできなくなったヒールフック)

垂壁カチの握りすぎで右手首が、カンテマッチのせいで左肩が痛い。そろそろ同じルートを続けるにも限界がきてるのか?
2月24日(日)先週のスランプは全く問題なくなり、リップまで到達。ところがいつもは簡単なサーカスライトとの合流地点のガバマッチができない。2便目は何回かサーカスライトの合流ムーブをトライするがどうしてもできずに、またしてもスランプに陥った。何度もトライしたせいで肩が痛い。3便目、M也に背中を揉んでもらうと肩の痛みは軽減し、登れる状態になったが、上部のスランプは解消していない。みんなが「今コンディション良いよ!」と言っているので、あきらめかけながらも最終トライ。不思議な状態が降りてきて完登。

みなさま、写真撮ってくれたり、励ましてくれたり、ムーブ教えてくれてありがとうございます。特にM也、登れなくて乱れているときも、怒らないで、なだめて、背中揉んでくれてほんとありがとう。おかげ様様です。

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