イオントフォレーシスをやってみた

<ゆ>
2週連続外岩に行かなかったので、手汁について書きます。

クライマーの間では、「手汁が出る―」とか「私、手汁クライマーだから。。」と、当たり前に使われている「手汁」だが、普通に考えるとすごい呼び名だ。さて、クライマーにとって、手汁がよく出るか、出ないかは大問題である。しかし、クライマーでない人も、握手ができない等手汁が出すぎるのは困りもののようで、「原発性手掌(しゅしょう)多汗症」という病名?がつくらしい。手汗レベルは以下の3段階で評価されるとのこと。

レベル1 手が湿っている程度。触ると汗ばんでいることがわかり、光を反射して汗が光る。
レベル2 手に水滴ができて濡れており、見た目でも汗をかいていることがわかる。
レベル3 盛んに水滴ができ、汗が滴り落ちる。

 

原発性多汗症については、日本皮膚科学会からガイドラインも出されており、手汁がひどい人の治療方法についても記載がある。

まず「塩化アルミニウム液」をつけてみるか、「イオントフォレーシス」というのをやってみて、ダメならボトックス注射か交感神経遮断術をやるとのこと(1386ページ)。

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf

 

 

私は、アメリカに出向する際「アメリカ人はやたら握手してくるけど、握手したとき手が湿っていたら恥ずかしい」と思い、慌てて治療を検討したところ、ちょうどクライマーの友人が「塩化アルミニウム液」が要らなくなったため、プレゼントしてくれたので試してみた。塩化アルミニウム液は、夜寝る前にヒタヒタになるくらい手に塗って、ゴム手袋をはめて寝るのだが、副作用は痒くなることらしく、私も手が痒くなってしまい、よく寝られないので断念した。

それから数年放置していたが、夫から「その汗、病気だよ」と言われたのをきっかけに、もう一つの手段である「イオントフォレーシス」を検討することにした。

 

「イオントフォレーシス」は、1020mAの直流電流を流している水に手足をつけて30分通電させる、というのを812回繰り返すというもの。保険適応で皮膚科でやってもらうことも可能だが、イオントフォレーシスの器具がある皮膚科が少ないのと、しょっちゅう病院に通わないといけないので、普通のサラリーマンが続けるのはなかなか難しい。また、いったん汗が減っても、12週間に1回くらいはイオントフォレーシスをした良いらしいので、継続的に病院に通う必要がある。そこで、通院が難しい人のために、家庭用のイオントフォレーシス用機器が販売しているらしく、ちゃんと日本皮膚科学会のガイドラインでも紹介されていた。

 

私は、Iontoderma iD-100というのを買ったが、ディスカウントのクーポン券等がネットで見つかるので、ググってクーポンを見つけてから買ったほうが良い。私は230ドルくらいになるディスカウントクーポンを見つけて、手数料とか含めて29000円で購入し、M様が誕生日プレゼントにしてくれた。購入する際も全て英語だし、機器の説明書も英語になるのだが、You Tubeやらブログに日本語での説明が書かれているのでそういうのを参考にするとよいです。

以下、私の症例報告です。

【患者背景】会社員兼ロッククライマー。幼少期から手汗がひどく、手の甲(指の第2関節下)にアセモが頻発したり、テスト用紙が汗でふやけて字が書けないなどの苦労をしていた。大人になっても変わらず、運転していると、手汗が腕をつたうほど出てしまうとのことから、重症度はレベル2~3と思われる。ロッククライミングでは、本人はあまり気にしていないが、ジムではホールドに汗で手形がついてしまい、周りが迷惑しているようである。冬の岩場は辛く、手袋を使ったりホッカイロを使うと汗が出て手が冷えるため、いつもかじかんでいる。
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(PCを使っているとキーボードに水滴がつくため、手を拭きながら作業)

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(手のひらだけでなく、手の甲も汗が出る。よく拭かないとアセモになる)

【治療】使用機器はIontoderma iD-100。手足をそれぞれ30分、18日間で11回イオントフォレーシスを行った。
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(電流を通した板の上にスポンジがおいてあって、水に浸して電気を流します。指が曲がってて、ちゃんと浸かりにくい)

【効果の測定方法】冬場は夏程手汗が出ないため、手汗が止まったかどうかの判断は、「暖かい部屋で二子の「美しき流れ」登っている人のYou Tubeを見て、どのくらい手が湿るか」という基準を用いた。

【結果】イオントフォレーシスを始めて3回目ではほとんど効果が感じられず、これまで通りの汗が出たが(汗が球状になってみえるくらい:レベル2)、56回実施後は明らかに汗が減り、ビッショリからシットリまで変化した(指先が汗で光るくらい:レベル1)。手のひらの汗は減ったが、手の甲(指の部分)には水滴が見える程度の汗が観察された。指の甲?が浸るまで水を増量し、イントフォレーシスを継続。11回目でも、「美しき流れ」の完登動画をみると、手がキラキラ光る程度は汗がでてしまうが、指の甲側も湿る程度になり、足も手もビショビショになっていたことを考えるとだいぶ改善した。

これからは1-2週間に一回くらいやれば良いようなので、長期的にみてどうなるか、楽しみです。

コメント

  1. つよぽん より:

    手汗すごいね。。。
    こりゃ、酷い(笑)
    今回一緒にいくロシも同様に土曜日の宴会で、登っているのをイメージしただけで手汗びっしょりだったよ・・・
    これで改善されたら、手汗クライマー強くなっちゃうなーーーーw

  2. Y花 より:

    >>1
    手だけじゃなくて、足汗もだいぶ減った気がします。手のフリクションが増えなくても、足汗で靴がビショビショになったりせず、興奮して本を読んだら紙がブヨブヨになったりしないなら、それだけで大満足ですよー。

  3. みわ より:

    この数ヶ月、汁手クライマーといっぱい話して、すごい勉強になったよー。Y花隊長を筆頭に!ありがとう。
    私は後天的な汁手だから苦労してるだけで、根っからの汁手クライマーに比べたら症状は軽くて、グチを言ってばかりじゃダメだなと。もう少し登り方や対策を研究しなきゃなんだけど、でも、最終兵器があると思えると、少し気が楽になります(^^)

  4. Y花 より:

    >>みわさん
    手汗は、ちょっと湿ってるレベルでも、ビショビショでもフリクションは一緒な気がする。だから、悩みはみんな一緒だよー
    イオントフォレーシスは、軽ー中程度なら7-8割の人が改善するらしいです!副作用があるかもしれないので、オススメして良いか、今の時点ではわからないけど、今のところ悪いことは何もありません。最終兵器じゃなくて、最初の一手かも!?また経過お知らせします

  5. とし より:

    流れの動画で検証www

  6. Y花 より:

    >>としさん
    何回観ても手汗が出るもの、ってなかなかないですからね。良い検証方法でしょ。
    バスターもう少しっぽいですねー!!バスター登って流れに駒を進めてください!ちょっとだけ手汗出しながら見学します。