不文律(ふぶんりつ)

先週は泊りでシーサイドに来たのだが、二日目は体がボロボロだったので、今回の4連休は土曜日と火曜日に行くことにした。『ボルダリングの整体院』が推奨している≪攻めのケア≫にも日々勤しんでいるのに、47にもなるとホント日々の疲れが回復しない。下手すると年末年始のエルチョロツアーのダメージがまだ残っているような気がしないでもないし・・・

今回はY花がコロッサスと虎で交互に遊んでいる中で、私の方は引き続きスプラッシュ。
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スプラッシュのように、何回トライしたかわからないようなルートでは、そこから更に何か収穫を得ようと思うと、一回一回のトライをかなり本気でやらないとイケない。だから今日は最初のトライで自分のベストを出すイメージを持ってやってきた。結果として、この日の3回目のトライでそのイメージ通りのトライができたのだが、1回目のトライでは呆気なくリップ取りでつまづき、2回目のトライは目標の半分で力尽きた。Y花の方はコロッサスの核心ができるようになっており、今シーズン中に登れそうな感じだった。

〔収穫〕
・リップ取りが成功する時と失敗する時の違いが、レストの方法と長さにあることが判明。
・リップ上部のホールドの持ち方の改善。保持力が増して、その後の一連のムーブが安定。
・カンテを取った後のガバ取りムーブが確定。

〔課題〕
・コーナーのガバを取った後、体をコーナーの反対側に移動できない。
・ムーブを作らず、強引に左手一本でぶら下がる方法もできたが、肩を痛めるので却下。
・重心を置いた左足を移動する方法が定まらない。

ところで、スプラッシュの核心にはボルトが打っていない。意図的に打ってないのだと思う。そもそもルートの途中にあるボルトは、安全を確保するために打ってあるだけで、ハングドッグしてムーブを探ることを想定して打ってある訳ではない。ハングドッグ(Hangdog)の意味は、「こそこそした、卑劣な」という意味だし、もともと良しとされていなかった行為だからだ。スプラッシュの場合、ルートの中間部のトラバースパートにボルトを一個打てば、登る側からするとムーブも簡単に探れて解決も早まるだろうに、あれだけの距離にあえてボルトを一本も打っていないのは、それをさせない意図もあると思うのだ。

しかし、スプラッシュの魅力はそこにある。何度も落とされながらも、下から努力を積み重ねて行って、それができた人だけが、ようやく次の局面にたどり着けるようになっているからだ。例えば、トラバース最後のコーナーに出る部分のムーブを試す場合、1つのやり方を試して失敗する度に、かなり下まで落とされる。だから、コーナーで「足の角度や右手の持ち方をを少し変えて別のやり方を試す・・・」みたいなことをやろうと思うと、このビデオ(↓)でやっていることをまた全部一からやり直して、そこまでたどり着かねばならない。
https://m.youtube.com/watch?v=V5i3dFLPMxA&feature=share  
しかもその一連のムーブがそこそこ難しいので、毎回そこに辿り着けるとも限らないし、体力的なことを考えると1回のトライで試せるのは5回が限度だ。 

ただし、その過程で自分が強くなってきたことや、してきた努力が間違っていなかったことが確認でき、同じ苦労を積み重ねてきた仲間との共通意識も芽生えていく。本当に強いクライマーだと数回のトライで登れてしまうので何とも言えないけど、そうやってこの側面に心血を注ぎ、努力を重ねていくのがスプラッシュの文化だと信じていた。初登者からの明確な説明もないし、トポに説明が書いてある訳でもないのだが、文化だと信じていたことが破られたという意識が働くと、違和感を覚えるものだ。トップロープにしないと危険なルートでもないし・・・。

誰に問えばよいのかわからないけど、スプラッシュのノートップロープは不文律ではなかったのでしょうか?今回それやっちゃってる人がいたので気になった。まあ、自分が登れる頃には気にならなくなっているのだろうけど。

 

コメント

  1. TKD より:

    感受性とかセンスの問題ですね。スタイルの一言に集約されるかと。
    だっせえやつだな!と思ってればいいと思います。
    僕もだっさいことしたり無駄にこだわったりすることあります。TOできないルートのTRトライしたことはいまだかつてありませんが。

  2. コブ より:

    >>1
    実は「ださい」とか、「スタイルの問題」とは思ってません。なんか、そういう不文律みたいなものがあったはずなのに、伝わってないんだな…と思っただけです。みんなどう考えてるんだろうか、と。
    「これ、私のスタイルなんで」と言って、次から次へとそういう人が現れる状況を自分の時代に作りたくないなーとも思いました。開拓時代の先人達から、当時の時代精神らしきものを聞いていたので…。
    例えばキャデラックランチなら、「上から見るなよ。」、アイロンヘッドなら「上から長いスリング垂らすのは駄目だよ」と言うのを初登者が言っていたし、それは意地悪からではなく、「恐怖を乗り越える所も含めてグレーディングしてる。」という事だったから。また、それを乗り越える所に、ルートに挑む醍醐味があることを感じさせられ、感銘を受けたから…。
    過去にそういう話をした時に、「さすがにそれは時代錯誤だよ」と言う、反対意見も聞いたことがあるけど、スプラッシュの場合、ボルトの位置を考えれば、このグレードに挑む人が何を乗り越えなければならないのか明白だと思ったし、だから誰もトップロープはしなかったのだと信じていました。
    まあ、そんな感じ。

  3. TKD より:

    そこのTRよりもさらに問題だろ、ってものが散見されている気がします。
    ただこのグレードを登る人ならば、って意見はとても賛成です!
    いろいろ喋りたいことはありますが!
    いつか飲みながらお話ししたいですね。

  4. コブ より:

    >>3 TKDさんとは、また会うと思うので、そのうちお話しましょう。掘り下げて言ったら、書くこといっぱい、喋ることいっぱいで、面白い話で来そうですね。