15年ぐらい前に買った『地図帳 日本の島々100(山と渓谷社)』という本があって、これを見ながら離島行きを企んでいたことがある。この本は、北は礼文島から始まって、最後は日本最西端の与那国島で締めくくられているのだが、各ページには島の特長やアクセス情報の他に面積や人口なんかが載っている。その情報によると、多くの島は数十人から三千人程度の人口に収まっており、他の地域から完全に距離を置いた世界の中で独自の社会を形成しているようだ。
今住んでいる東京のような都会の生活では様々なものが簡単に手に入るし、行こうと思えば好きな岩場にも2~3時間で行けるのでほとんど不満はない。しかし、こうした生活を維持するための仕事は本来の自分のリズムに比べると、かなりの早さと忙しさを要求されるので無理が多くて全然面白くない。メールなんて自分に直接関係ないものを含めると毎日200件以上来るし、そこに混ざり込んでいる「あれして下さい」「これして下さい」的な指令が毎日のようにあって、このような指令から逃れられる日々は、会社を辞めない限り今後1日たりとも訪れそうにない。たまには、そういうどうでもいいものを全部シャットアウトしたいという気持ちが強くなってくると、その思いの行きつく先は離島になるのだ。
離島にあこがれる気持ちが数年周期で湧いていたのはそのためだと思うのだが、一方でクライマーである以上、岩登りの含まれない単なる観光旅行とかをする気はないので、憧れの離島が載ったこの本は、十数年ものあいだ私の本棚にしまわれたままになっていた。ところが今年の年末年始は時間があるうえ健康なのに、海外ツアーには行けないという社会情勢があった。そのような状況の中、色々なことが一つに繋がって石垣島クライミング&離島ツアーが決定した。15年前に買ったこの本が遂に日の目を見る時が来たのだ。
いつも外岩クライミングを一緒にやっているメンバーに車の中でこの話をしていたところ、Eちゃんが奥さんを口説くのに成功したということだったので、今回はE夫妻とともに4人で石垣に行くことになった。両家の日程は前後で1日ずれたのだが、我が家は24日に出発し30日に帰る工程を取り、みんなで石垣島、西表島、竹富島を回ってきた。
『石垣島クライミング』
・最近、SNSの投稿記事などで石垣島ボルダリングの情報をよく目にする。石垣島にはTopoutというボルダリングジムがあり、今年から石垣島に移り住んだ通称クニクニさんが店長をやっている。クニクニさんはFreeFanにクライミング4コマまんがを掲載しているような人で、石垣島ではガイド業もやっているので、今回はそのクニクニさんにガイドをお願いして石垣島のボルダーを案内してもらった。尚、Eちゃんはもともとクニクニさんと知り合いだったようだ。
初日は久宇良浜と野底に行った。拠点となる市街地から車で30分ぐらい。クニクニさんとは途中で待ち合わせをして連れて行ってもらった。
《久宇良浜》
3級課題を登る私。マットはレンタル可能(1枚1000円/日)で、今回のガイド料金に含まれていた。
こちらも久宇良にある3級。これでアップして隣にあるユージさん初登の初段にトライ。
ユージさん初登の初段にトライするY花。EちゃんとY花が惜しいところまで行ったのだが、結局RPならず。
《昼食》
久宇良から野底に移動する途中に寄ったお店。店名は「ヤスとカマーの店」なのだが、誰がヤスで誰がカマーなのかはわからなかった。都心にこんな店があったら怪しい限りだが、出てくる料理はどれもおいしかった。ソーキそばは肉がたっぷりで、マーペ丼はエビが5本も入った天丼で950円だったかな。今回のツアーで2回も行った。
《野底》
「東南アジアのジャングルで、岩に登って雄たけびを上げる原住民を発見」と思いきや、「3本ある初段のうち、2本を落として喜びに溢れる神奈川県民」だった、の図。
ガサツなイメージと裏腹に、緻密な筋トレをしたおかげでムキムキとなったE。我が家二人は全く歯が立たなかった課題をあっさりと登って見せた。
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