1か月ぶりのクライミング②インプット奴隷合宿

<ゆ>
2022年7月6日(水)~7月12日(火)@コロナ療養施設

インプット奴隷合宿とは?の解説の前に、療養施設の食生活について。

療養施設の食生活ですが、毎食1択のお弁当を取りにいき自室で食べるのですが、飲み物は充実しており、インスタントコーヒー、紅茶、緑茶の他に朝食はフルーツジュースや野菜ジュースがあるときもあります。無料で提供してもらっていると思うと奇跡的クオリティです。

朝食:野菜ないなーとは思うけど、野菜ジュースで補填するから大丈夫。焼いてないパンってまずいことを知るが、意外とおかずは美味しい。

昼食&夕食:ほぼ揚げ物で病人が食べるにはどうなの???・・・と噂に聞いていましたが、意外とよく出来ています。療養施設には10代~メタボ50代、食の細いオバサンくらいまで幅広いタイプの人が宿泊しており、こんな色んな人をカバーする食事を提供するのは至難の業です。しかしお弁当には、お魚系和風の主食と揚げ物、野菜が入っており、40代のおばさん(私)は揚げ物のコロモを剥がして中身と魚系のおかずを食べ、持参した梅干しと海苔でゴハンを半分くらい食べて、野菜ジュースを飲めばOK。腹ペコの若者はゴハンと揚げ物まで食べれば何とか足りるし、インスタント焼きそばも置いてあるので追加で食べることもできます。隔離したい人々に税金を使い過ぎない範囲で食料を提供する方法として、妥協の産物としては良いのではないでしょうか。

そして、金曜の夜には素敵なプレゼントが。宿泊者へのせめてもの食事の楽しみを提供し、コロナで苦しい企業を応援するために、有名駅弁が提供されてました!

有名な駅弁の「牛肉どまん中」です!自腹で買うと結構高いし、最近読んでる漫画の「将棋の渡辺くん⑤ 61ページ」でも話題になってて気になってたので食べられてラッキー!!

これだけでなく、アレルギーがある人には個別のお弁当が、具合悪くてお粥とかしか食べられない人には別メニューが準備され、至れり尽くせり過ぎて、ほんとにコロナでクソ忙しい中、こんなことまで対応してくれている自治体関係者の皆様には、純粋に頭が下がります。

というわけで、クライマーの私からすると夢のような宿泊施設&食料がそろった施設に無料で居られるのは感謝しかありません。とはいえ、いつも登ることをメインに生きている身としては、隔離されて体調が悪くて身体を鍛えられない状態で何をしたらいいか、と悩むところですが、そこはインターネットが発達した時代にはいろんな遊びが想定されてしまい、こんなときは「インプット奴隷合宿」だ!と思い当たりました。

で本題の、インプット合宿ってなんですか?なのですが

「インプットをやめられない人達(インプットの奴隷)が、本を読むためだけに旅館に泊まる」という行為ということで、最近グイグイきている、おふざけインテリ系ポッドキャスト「ゆる言語学ラジオ」のパーソナリティ水野さんに由来するものです。

詳細はYou Tubeの通りです。クライマーが本を読むためだけに宿泊することは考えられませんが、コロナ感染隔離でホテル住まいという絶好のチャンスを得たため、インプット合宿にトライすることにしました。

課題図書は
・死の家の記録(The House of the Dead) ドストエフスキー
・銃・病原菌・鉄 ー万三〇〇〇〇年に渡る人類史の謎ー ジャレド・ダイアモンド
・マルクス その可能性の中心 柄谷行人

どれも、日常生活で読みかけながら読みきれないで放置していた本ですが、コロナで隔離されながら、ウクライナ情勢が心配な中、「死の家の記録」はベストチョイス過ぎて、身体に染みわたりました。

ドストエフスキーは、自身が政治的な事件によりシベリアで4年間流刑されていたのですが、「死の家の記録」はそのときの地獄の経験を記述している書として有名なのかと思います。「ドストエフスキーとか純文学は無理ーーー」と思っていたのですが、私の個人的な感想としては、

「死の家の記録」は普通に面白い。

罪に問われ自由を奪われている多様な人々の心理や状況の記述に目を奪われるだけでなく、ロシアという他民族国家のロシア人からみた小ロシア(ウクライナ)、ユダヤ人、ドイツ人、シベリア、回教徒に対する目線や、多様性・異文化・宗教に対する不思議な寛容と同時に沸き起こるヘイト、、、、みたいな日本人には理解しにくい感覚も刺さる内容で、ついでに牢獄でも自然と発生する人間の上下関係や闇の経済活動、、、、など面白すぎて一気に読まずにはいられない感じでした。

シベリア流刑地での衣食住・精神的苦悩を読めば、恵まれた環境での隔離生活が、自由と可能性と喜びしかない世界だと思い知らされます。これからコロナ陽性で隔離せざるを得ない人には、「死の家の記録」は必読本として推薦します。

コメント