土曜日の晩に、ナナーズで久しぶりに出会った旧知のクライマー夫妻と立ち話になり、「結婚されたんですって!!Mユさんから聞きましたよ。」と、今更ながらのサプライズな祝福の言葉を頂いたあと、「今日帰るんですけど、この桃食べ切れないからあげますよ。」という展開になって、奥さんの方が手元に持っていた1ダースほどの桃の箱の中から、桃をお裾分けしてくれた。
月曜日にさっそく食べてみたところ、これがめちゃくちゃ美味しかった。M杉さん、どうもありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
今週末は自分でも予想だにしなかった相手、Gンキくんからお誘いがあったので、都知事選の選挙権は行使せず、土日で外岩クライミングを楽しむ権利を行使して、瑞垣方面に行くことにした。
初日のカサメリは基本的にびしょびしょで、レマンサルはお話しにならなかった。結局ムーラン・ド・ラ・ギャレットとオールオアナッシングだけは登る事が出来たので、それを登って終日を過ごす事にした。とは言え、翌日になっても瑞垣は全体的に乾きそうになかったし、Gンキくんはあっさりギャレットを登ってしまったので、夜は信州峠を越え情報収集を兼ねてヘルシーの湯に向かった。思った以上に知り合いがたくさんいて、小川山は状態が良いという話を聞き、翌日は小川山で登る事になった。
その後に立ち寄ったナナーズで冒頭の桃を頂き、ピオレで夕飯を食べたてから廻り目平に入って一晩過ごす。小川山は天気が良く、星も綺麗だった。
翌日は、どこに行こうか考えあぐねてバナナクラック方面に向かうことにした。二人ともトポが無く、どこにあるのかも良くわからないまま、とりあえずあっちの方かな、と言って確信も無いまま歩き出す。
しかし、「意思ある所に道は通ずる」というべきなのか、そこに行こうという意思を持って行動すると、同じ方面に向かう知り合いに出会えたりする。
イムジン河周辺で迷子になっていると、セクシーな方のH山さんに出会い最高ルーフの近くまで案内して頂いた。トポの必要なページだけ写真を撮らせて貰い、結局最高ルーフの下でアップして、その後も無駄なくバナナクラックまでやって来ることができた。
ここにはバナナクラック11dとノーリターン10cしかないので、Gンキくんはバナナクラック、自分はノーリターンをやることにした。
最初の自分のトライはノーリターンのパートでズタズタにやられて各駅停車。岩の状態が悪く、滑る感じは否めなかったのだが、自分の前にバナナクラックをトライしたGンキくんは、同じ悪条件のはずなのに何の文句も漏らさず、この状態で登り切る気でいた。
その後も彼は果敢に攻めて少しずつムーブを固めて行く。数字一つ下のノーリターンをやった自分が、たった一回のトライで戦意を喪失させられそうになっているのとは対象的だった。
間違いなく岩の状態は悪い。加えてGンキくんはフルパワーの出し過ぎで腕が攣ったり足が痛み出したりして、色々悪い条件が重なっていく。
それでも諦めずにトライする気満々の彼を見て、自分も徐々にやる気を取り戻して行く。やる気は伝染するようだ。ノーリターンは2回目のトライで登る事ができた。途中何度も心を折られそうになりながら、その都度冷静にベストの一手をくり出して、やって良かったという安堵と共に終了点にたどり着くことができた。
そして、バナナクラックのGンキくん。
3トライだか4トライ目。疲労が重なっていて、もうギリギリなのがビレイしててもわかる。
「ウゥォオーーー!!!!」
核心パートに入ると、腹の底から絞り出す様に吠えながらワンムーブずつ起こしていく。いつ落ちてもおかしくないギリギリの状態で、身を奮い立たせながらその厳しい状況を制している。
「ウォォーーー!!!」
普通の人ならとっくに落ちてる状況で、自分を奮い立たせるかの様に更に吠える。後から駐車場で遭遇したHマちゃんに聞いた所、2峰から全部聞こえていたそうだ。
ビレイしていた自分は心が揺さぶられるほどの吠え方だった。「ガンバ」なんて言葉は、チンケ過ぎて掛けられない。自分の声援でどうにかなる様な次元のクライミングではなかった。落ちない事を祈りながら、固唾を飲んで見守るだけ。
「ウゥォオーーー!!!!」
更に吠えて一手出し、全部登り切って更に雄叫びを上げる。スゲーカッコ良かった。誰かに見せる為ではなく、ただ自分自身の信念のためだけに、全身全霊を賭けてクライミングをしていた。
こんな本気のクライミングは久しぶりに見たんだけど、これまで見てきたそこらの強い人とは次元が違う感じだったので、それを生で見れて良かった。
写真もビデオも残って無いし、見ていたのは自分だけなので文章という形でしか残せないけど、彼の凄さを多くの人に知って貰えたらいいな。
コメント
ひさしぶりの日記ですね(^o^)
Nさん、強かったけど、ちょっと周りへの配慮足りてなかったですねー。
って、僕も後から彼の言葉の真意が分かった(まさかNさんがそんなことを言うとは思ってなかったので)ので、その場では、スルーしていたんですけど。
コブさんも、然りですよ!
強い人は、自分が思ってるより、周りから見られてますよー。
今まで事前にブログで書くことを決めていたことは無く、家に帰って書きたくなったら書くというスタンスで記事を更新していました。更新しなかった時は何も思いつかない時なので、たまに更新しない時もありますが、書けない時はどうにもなりません。ちなみに今週は外でクライミングしていませんが、今ちょうど新しい記事を書いていたところです。
しかし、「配慮が足りない」と「真意」の件は何のことだかわかりませぬ。あしからず。