読書の時間②

《ゆ》
・「
Me before you」Jojo Moyes 

Yは結構マニアックな科学英単語知ってるよね。」ってよく言われるが、日常会話に必要な単語は結構知らない。いつもブラックスワンみたいなオタクの本読んでるからだな、と思い、一般的な表現が身に着く本読みたいなーと同僚に相談したら「今年映画化された人気恋愛小説」とポップな小説として紹介してもらった。が、奥深くて結構感動してしまった。

 
ストーリー:強い野望をもって輝かしい人生を送っていた
Willは、交通事故で四肢麻痺となってしまい、苦しい絶望的な2年間を過ごして尊厳死を望む。家族は「6か月の猶予期間の後、スイスで尊厳死を選択する」という彼の希望に同意せざるをえなくなる。そんな彼の意思を変えられないかと、家族は失業して途方にくれていた庶民女子Louを話し相手として雇う。WillLouに心を許すようになり、Louは尊厳死を望む彼の意思を変えるため奮闘する。そのうち二人は、、、とかいう感じの内容。

尊厳死という重いテーマを中心に抱えているにも関わらず「人気小説」なのは、誰もが共感してしまう物語の要素がふんだんに含まれているからかと思う。

WillLouのピグマリオン的関係

お金持ちの知的男性が、庶民女子を育てて変えていく、「ピグマリオン/マイフェアレディー」や「プリティウーマン」とか数えきれないくらいある物語でみられるアレです。「あなた好みの女」として成長した庶民女子が、その後従順に男のもとにいるか、自立して旅立つか、で全然話は変わってくる。「マイフェアレディー」ではイライザはヒギンズ博士とハッピーエンドを迎えるストーリーになっているが、原作の「ピグマリオン」ではイライザは自立してヒギンズ博士から離れていくストーリー。原作者が「マイフェアレディー」のバリエーションをみて激高したのも納得の違い。源氏物語は紫式部はあなた好みの男として成長するし、たいがいの物語はそっちですね。さてはて、「Me before you」ではどんな結末が待っているでしょうか。

‐複雑な家族の感情
実はこの話、Louの相談相手も妹で「友人」が出てこない。ひたすら家族の人間関係を描いていたりする。家族って愛しているだけでは済まされない、憎しみやいらだちもあり。母だからこそ家族だからこそ、Willの壁を打ち破ることができず、他人であるLouが壁を潜り抜けて関係構築する複雑さ。この複雑な家族の感情描写も、この本の面白さの一つだと思う。

‐過去のトラウマからの再生・旅立ち

Louは過去の傷を乗り越え、新しい世界に旅立っていく。ベタだけど、絶対感動してしまうテーマ。すでにブログだいぶ長く書きすぎなので省略。

そういえば、若い頃は生とか性に興味が集中してたけど、最近「死」についても「性」と同じくらい興味をもつようになってきた。人生折り返しまできたからだろうか。「人生わずか五十年」の時代で考えたら、あともうちょっとでおしまいだからなー。

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ギリシャ神話やスターウォーズのように、人が惹きつけられる物語には、人が無意識下にもっているユングのいうところの「原型」が描かれている!?次はジョセフ・キャンベルの「神話の力」読もうかな?というわけで、写真は新婚旅行パルテノン神殿。

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