それがあなたのいいところ~ヨセミテツアー③~

ヨセミテツアー②も登らないまま終わってしまった。というわけで第三話。

  • 山③

美味しい朝食を食べてのんびり出発すると、土曜日のヨセミテバレーは激混みで、入口のゲートで大渋滞、ヨセミテ内も工事中だらけでなかなか進まず、岩場の近くに車を停めようと思っても満車で停められないという予期せぬ事態に。12時近くになってようやく空いている岩場、The Wood Yard Areaというところにたどり着いた。すぐにThe Wood Yard Arete (V6)という美しいハイボール気味の課題が目に入る。★★★になっているし、下部がリーチ必要な核心みたいだったので、早速とりついてみる。M也と交互にムーブを考えて徐々に高度を上げていったが、いざマントルを返す高さになると6mくらいあり、初見では良いホールドが見つけられずどうしようか迷って一端降りた。慎重に降りたつもりだが、相当な高度で結構痛かった。やめようかなーと思いつつも次のトライで良いホールドを探りあてることができ、トップアウトできた。

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  • 谷Max

私が登った後、プレッシャーに晒されながらM也は徐々に高度を上げ、「完登だ!」と思った瞬間、上部であまり良くないホールドにデッドして、大フォール。ここには落ちないだろうと思ってサブマットだけ引いていた岩の上に落ちてしまった。我慢強いM也にしてはとても痛そうで、まさかの開始2時間足らずでM也ヨセミテクライミング退場?
とりあえずアイシングの氷を探しにYosemite Villageに行くが、すごい渋滞であっという間に1時間くらい経ってしまう。何とかアイシングセットを整えて、ヨセミテを後にしたのでした。ちーん。

翌日は、薬局に行って、足のサポーターやら塗布薬を買い、スティックをついて歩いてみるM也であったが、花魁の歩みかM也の歩みか、というくらい歩けない。本来はハーフドームのハイキングかセコイア公園のハイキングをレスト日にする予定だったが、ハイキングは到底無理だろう。「ヨセミテで足が使えない場合何ができるのか?」などと考えながら結局ヨセミテに到着。キャンプ4での軽いボルダリングに付き合ってもらう。King Cobra V8とか触っていたのだが、気温は30度近くまで上がり、M也も暇そうだし、3時間くらいでさっさと撤収。明日からラフティングかサイクリングにしようねーと言って、ヨセミテを後にした。

  • 山④

ところが何と翌日、サポーターを外してみたら歩けると言い出すM也。「これなら登れるかも?」早速地上2メール以内で出来る課題を考えてSentinel Boulderへ。トラバースのV3など落ちない課題で遊んだあと、Sentinel Traverse V6をやってみるが、なかなか調子良さそう。飛び降りられないので慎重なクライミングしかできないが、復活したらつながりそうだ。続いてCamp 4に行き、V3トラバースを登り、私が2014年登れなかったBear Hug Mantle V4へ。ダイナミックな一手だけの課題だが、前回は全然できる気がしなかった。Mはトライし始めると、私が届かない低い足からランジしてサックリ完登。調子良いじゃん!私は、M也が登ってしまったので渋々本気を出し、地味なヒールフックをして完登。

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  • 山⑤

翌日は午前中クライミングをして午後はラフティング(訳すといかだで川下り)!ヨセミテを流れる滝の水が集まって、Merced川になるそうだが、激しい流れのあるこの川はラフティングでも有名なようだ。今シーズンはたくさん雪が降って、雪解け水が大盤振る舞いで増水していてコンディションがすごく良いそう。ウエットスーツを着て、いかだに乗り込み、激流につっこんでいくらしく、見ているときには「こんな濁流下れるの?」と思ったが、いざラフティングのボートに乗ってガイドさんに漕いでもらっていると、結構安定しており快適な川下りだった。最初は刺激的な水しぶきを楽しんでいたが、そのうち二人で「クライミングのほうが楽しいね」なんて身もふたもないことを言いはじめてしまった。なかなかクライミングより楽しいことを見つけるのは難しいものです。ただ毎日30度近い気温まで上がっており、冷たい雪解け水を浴びながらの川下りは気持ちよかった。
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  • 山⑥

ラフティングで足を冷やしたのが功を奏したのか、翌日はちょっとしたフォールも耐えられるくらいに足が回復した模様。M也、午前中にSentinel Traverse V6をゲット。私は反対側の面にある「No Holds Bard」というV7をうち続けていたのだが、どうしても最終ホールドへのデッドが決まらず諦め(泣)。弱くて悔しかった。午後はCathedralに行ったところ、日本人グループがいて「涼しくてオススメな課題」をおしえてくれた。早速教えてもらったAhwahneeエリアに移動して、「Silent Spotter V6」をトライ。登りやすい強傾斜課題で二人してゲット。
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(Silent Spotter V6。M也ムッキムキです)

最終日はCurry Villageへ。噂の激悪Angler V3をトライ。皮なし状態で触ると痛くて涙が出そうなホールドを握りしめる課題だが、ヒールフックやら何やらで何故か登れるようになっている。
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(Anglers V3。痛すぎる―)
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 (もう皮痛くてやりたくないの)

その後Root Canal V7をトライするが最終カチが取れずに終了。コレ、最初らへんにやってたら登れてただろうなーと思う
と残念。
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(Root Canal V7。背中が華奢すぎるY花。これじゃ登れないねー。暑すぎて、やむを得ず上裸)
もう皮もないし、本当に登りたくないなーと思いながらZorro V4に移動。私は2014年にサックリ登ったはずなのだが、気力も皮もなく、スタートすらミスってできない。Mもグッタリで渋々触っている感じ。昼過ぎには「もう登んなくていいね!」となってクライミング終了。ヨセミテボルダ―ツアーはすべての指皮を使い果たし、終了した。

飛行機に乗り遅れ、毎日灼熱地獄にやられてあっという間に皮がなくなり、クライマーとしても全然冴えないし、自分にがっかりすることが多々あったが、総じてかなり楽しかった。免許なくて、しょっぱなからケガしたM也にはチクチク八つ当たりをしてしまったが、M也はあまり動じることなく状況を受け入れて毎日を楽しんでおり、こんなときでも穏やかでいられるのは本当に尊敬した。ほんと良い旦那さんだなーと思います。
というわけで終わりよければすべてよし、今回も楽しかったね!というわけで大団円のヨセミテツアーでした。

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