KOBU’sキッチン その9 「第三者委員会」

いつもの様に、「今日の料理」なるものを写真に撮って結花に送ったところ、直ぐに電話が掛かってきた。 「何でミートソースに、スモークサーモン入れたの?!」と。どうやらおかしな組み合わせで料理らしきものを作ってしまったらしい事は直ぐにわかったのだが、スモークサーモンなどという高級食材にはあまり馴染みが無かったためか、何がイケないのかまではよくわからなかった。           
           
Y花と私の普段の会話では、料理に関しては比較的素直にY花様の意見を聞き入れているのだが、今回は「なんで駄目なの?」とか聞いてる内に、「じゃあFacebookに投稿して、みんなの意見の聞いてみよう」という事になった。と言うわけで、第三者委員会とほぼ同等の立ち位置を持つと思われるFacebookに投稿し、みんなの意見を待つことにした。           


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ありがたい事に、この投稿に対して10人から書き込みがあり、それ意外にも直接結花に届いたメールが数件。 幾つかピックアップしてみると・・・          
           
【意見1】           
スモークサーモンは非加熱で香りを楽しむ食材なのに、ミートソースのように温まったソースの上に載せた時点で、その食材が台無しになってしまう。スモークサーモン殺害事件と言ってもよい。
有罪。           
           
【意見2】           
ミートソースにスモークサーモンは無しです。           
           
【意見3】           
人生は冒険です。
(シンプルなコメント。料理も冒険、いいではないか。というありがたきお言葉)

【意見4】           
スモークサーモンは食材として高いのに、そんな高い食材を入れたのに美味くなるどころか、まずくなっている。           
なので入れる意味がない。安くて美味く仕上がっていれば認める要素があるが、それがない。
スモークサーモンの方を、サラダの上に載せるのであればOK。           
           
【意見5】           
ベーコンと魚介類、アンチョビと肉類、しゃぶしゃぶに昆布だしとかあるので、食べる人が美味しいと感じるならオッケーなのでは?           
           
                  
          
           
料理に関する意見は、各人の育った環境における主観で述べられるので、どれが正解かと言うのは難しい。勝手に総括させてもらうと、「ミートソースにスモークサーモン」は、「ご飯にいちごジャム」や「ほっけにケチャップ」ほどおかしくは無いが、カリフォルニアロールを始めとした「アメリカの寿司」ぐらいの違和感はあるようだ。そもそも「カリフォルニアロールに達していない」という説もあが、まあここは例えなので、お許しあれ。
           
極論を言えば、自分1人で食べる分には自分が良いと思えばいいのかも知れないが、実はミートソースに載せたスモークサーモンはまずかった。しょっぱいし…。せっかく5番の人がフォローしてくれたのだが、私の自滅によりその意見は早くも破綻してしまったのであった。           しかも仮に自分では美味いと感じたとして、そもそもこの料理は誰のために作っているのか、という課題が残る。実は、今でこそ自分で食べるために作っているのだが、Y花が帰国したら自分が作った物を日々食べて貰いたいと思いながら研鑽を積んでおり、そのためのKobu’sキッチンだったりする。Kobu’sキッチンは、その来るべき時に備えた研究機関であるにも関わらず、誰かに食べて貰うという視点が欠落していため、いつの間にか独りよがりな創作料理を生み出してしまう場になっていたようだ。      
     
なんてこった、これは盲点だった。           
料理たるもの、誰かに食べて貰ってなんぼ。           

今回の皆様からのご意見は、時間を明けてから読み直し、その視点が完全に欠落していた事に気づかされた。非常に貴重な意見を頂き、とても勉強になった。

感謝。  

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