有終の美

＜ゆ＞
3月27日（土）　@アストロドーム with Eちゃん

12月から通い続けたアストロドームだったが、暖かくなって以来ブリザード・サムライ側の染み出しは止まらず、「今週が最後」と暗黙の了解で皆が理解していた。

M也はマリオネット完登後、ほとんど引退モードに入っており、ユルユルとY花のやっているメリーゴーラウンドをお触りしているが、モチベーションがないので全くできない。Y花はメリーゴーラウンドをピンクポイントしたものの、炎のメリーゴーラウンドのパートが出来ず、今シーズンの進展が望めない無力感から「城ケ崎終わったら、塩で痛んだギアを洗って、油さしてお手入れしたいなーー」という気持ちに囚われて、課題解決よりもシーズン終了を待ちわび始めていた。Eちゃんは乾かないサムライを横目に、これまで予想もしていなかったクラックの世界の扉を無理矢理開かされ、戸惑いながらもその才能に目覚め始めていた。

そんな最終日、M也は妻が残置してしまったカムの回収ができたことに満足しながらコロッサスに残置したヌンチャクのことを考え、Y花は前日のZoom飲み会からくる二日酔いで、必死の形相で炎のメリーゴーラウンドに残置したヌンチャクを回収し、最終日としての役目を果たした。そんな中、われらが希望の星Eちゃんが、クラックデビューの大金星で有終の美を飾った。

　数週前から染み出しが止まらないサムライ側に対し、マリオネット・メリーゴーラウンドのある壁は乾いており、M也がマリオネットをトライした後の回収要員としてEちゃんがお触りし始めたが、Eちゃんのあまりのセンスの良さに「これってリードしたほうがよくない？？」と誰もが思い、サムライビショビショの日にリードトライを開始。初リードで完登してしまいそうだったが、初めてのリードトライで存分に余計な力を使っており、完登は最終日に持ち越しとなった。

そんな中、色んな思い出が詰まったアストロドームの最終日に、Eちゃんがきちんと有終の美を飾ってくれた。　クボ家の「完登しろ」オーラにストレスを受けながらも、RP便は完璧すぎるムーブで圧巻の登りだった。「初めてのクラックRPはマリオネット」というクラッカーは過去・未来なかなかいないだろう。
https://youtu.be/_mlAohkVE0s
(完登動画）

Eちゃんが初めてマリオネットを触った日から思ったが、Eちゃんはクラックに向いている。フェイス向きの私が努力してもなかなか出来ないことを、初日からできる才能をもっていた。才能がなくても、クライミングは楽しめばいいし、私もクラックの才能は全くないけど、これからもクラックは全力で頑張っていくつもりだ。でも、才能がある人が、その人の才能に向いていることを始めて頑張っていくという過程は、なんか周りの人にとっても嬉しいようなキラキラしたものがあり、そういう場に立ちあえて、今シーズンの終わりを迎えるのは何とも感慨深かった。

この後、メリーゴーラウンドでも遊んでいたが、もう登っちゃいそうで、来シーズンが楽しみだ。たくさん収穫のあった今シーズンの城ケ崎だが、「才能の開花」は一番良い収穫だったかも。

マリオネット完登後はみんなでシーサイドに移動して、コロッサスのヌンチャクを回収して終了。シーサイドの爽やかな波の音が、シーズンの終わりを優しく身体中に染み渡らせてくれたのでした。